
イギリスのコメディアンに高学歴が多い理由
世界にはその国ごとに色々なコメディがあります。
その中でも世界の頂点に立つといってもいいのはやっぱりイギリスじゃないでしょうか。
チャップリン、Mr.ビーン、モンティ・パイソンなど、日本でも有名なコメディアンはみんなイギリス出身です。
イギリス人のコメディに対する自信がみれたロンドンオリンピック
イギリス人はその伝統・歴史からコメディに対する圧倒的な自信を持っています。
その自信が垣間見えたのが、2012年ロンドンオリンピックの開会式・閉会式でしょう。
開会式には、日本人も誰でも知っているMr.ビーンことローワン・アトキンソンがオーケストラのシンセサイザー奏者として登場。(もちろん本当に演奏はしていません)
YouTubeリンク:https://www.youtube.com/watch?v=CwzjlmBLfrQ
カメラに彼の顔が映し出された瞬間に会場中に歓声が起こります。
閉会式には、世界一有名なコメディグループ「モンティ・パイソン」のメンバーでもあるエリック・アイドルが登場。
モンティ・パイソンの代表的コメディ映画「ライフ・オブ・ブライアン」のエンディング曲「Always Look on the Bright Side of Life」を熱唱します。
YouTubeリンク:https://www.youtube.com/watch?v=jiu0lYQIPqE
(エリック・アイドルの演出は1:50あたりから)
日本ではあまり知られていない歌ですが、世界的にはかなり有名で、動画を見てもわかる通り、出席している世界各国のアスリート達が大合唱しています。
ただ、この2つのパフォーマンスの演出、正直いって腹をかかえて笑うほどめちゃくちゃ面白いってわけではないですよね。
シンセサイザー奏者が演奏中に鼻をかんだり、人間ロケットが失敗してロケットの中から人が落ちてくる、といったかなりベタな演出です。
これを世界中の人たちが見ているオリンピックの式典でやるんですから、イギリス人のコメディに対する自信はハンパじゃないです。
そもそもコメディアンがパフォーマンスするオリンピック自体あんまりないと思いますが(笑)
仮に日本がオリンピックでお笑いを披露することを想像すると、とんでもないハードルの高さです。
海外のコメディアンは高学歴ばかり
上記で紹介したローワン・アトキンソンはオックスフォード大学卒、モンティ・パイソンも6人中5人がオックスフォードかケンブリッジ大学を出ています。
なぜ日本とは対照的に海外のコメディアンには高学歴が多いのでしょうか。
これにはコメディアンの歴史とそれに伴う社会的立場が関係しています。
コメディアンには幅広い教養が必要
海外コメディでは単に観客を笑わせるだけでなく、社会風刺や時事ネタを含んだものが多いです。
スタンダップコメディとかはまさにそれですよね。
斬新な切り口から発せられるジョークには、文学や政治、宗教などに対する深く幅広い知識が必要となってきます。
そしてそういった知識を舞台の上で瞬時に笑いに昇華するため、知識だけでなくシャープな頭の回転も求められるのです。
コメディアンに要求される知的レベルは相当なものですよね。
コメディアンの歴史
コメディアンの歴史は、中世ヨーロッパの宮廷道化師にまでさかのぼるといわれています。
宮廷道化師は王様に仕えて曲芸を披露するだけでなく、その当時起こっていた時事ネタについて、冗談やジョークをまじえて話し、時には王様の目の前でその政策を批判したりすることもありました。
権力者の顔色を伺う人が多い中で、庶民の生活の実情や不満の声を伝えてくれる道化師は重宝されていました。
そのため、笑い者とされながらも、絶対的な君主に対して無礼な発言をできる唯一の存在だったのです。
しかしその一方で、権力者の批判をすることは一歩間違えれば自分の身を危険にさらすことにもなります。
おそらくものすごい緊張感の中で道化を演じていたのでしょう。
命がけでジョークを話していたといっても過言じゃないかもしれません。
こういった背景から、必然的に高い教養と知性が要求される職業となっていったんだと思われます。
コメディアンが中世でどのような立場だったかは、シェイクスピアの喜劇「十二夜」の名言からも読み取れます。
(訳)
あの人は頭がいいから阿呆の役ができるのね。
阿呆をうまく努めるには、それなりの知恵がいる。
冗談を飛ばすにしても、相手の気分、人柄や地位、時と場合を見極めなきゃならない。(原文)
“This fellow is wise enough to play the fool;
And to do that well craves a kind of wit:
He must observe their mood on whom he jests,
The quality of persons, and the time;
シェイクスピア「十二夜」より引用
海外のコメディ作品を楽しもう
僕は日本のお笑いも好きですが、海外コメディとくにイギリスのコメディをよく見ます。
今ではAmazonプライムやNetflixで海外のコメディドラマやコメディ映画がたくさんアップロードされているので気軽に楽しむことができます。
海外コメディにも様々なジャンルがあるので、皆さんもお気に入りの1つを見つけてみてはいかがでしょうか。